国内外の情勢 | 秋山孝の記録 |
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2008年(平成20)
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2008年(平成20)・56歳
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2009年(平成21)
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●2009年(平成21)・57歳
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20010年(平成22)
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●2010年(平成22)・58歳
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ワルシャワ国際ポスタービエンナーレは、1966年に第1回展が開かれ、組織委員長は、ユゼフ・ムロシュチャク(1910?1975)教授であった。世界で最も歴史あるポスターコンクールで、ワルシャワではショパンコンクールと対比されている。ここで日本のポスターデザイナーも数多く受賞し、国際デビューを果たし、評価された。ぼくも1986年に金賞を受賞し、大切なビエンナーレとして、それ以来、連続出品している。
2008年9月25日に新潟県佐渡市にて、朱鷺の野生復帰にむけた試験放鳥が行われた。 佐渡トキ保護センターは1998年に中国から友友(ヨウヨウ)、洋洋(ヤンヤン)の贈呈を受け、人工増殖をし120羽を超えた。 今回の試験放鳥を足がかりに、2015年には小佐渡東部に60羽のトキを定着させることをめざしている。その記念事業として、 日本グラフィックデザイナー協会会員による自然共生をテーマとしたポスター展「アートメッセージ展」と、 特別展示「秋山孝メッセージポスター展TOKI 1983 — 2008」が開かれ、1983年から2008年にかけて制作した朱鷺のポスター13点が展示された。 さらに、9月27日に福田繁雄、仲川純子、秋山孝3名の「記念トークショー」が行われた。残念ながら福田繁雄先生はその後ご逝去され、 最後のトークショーになった。デザインは、佐渡の民家の空に悠々と朱鷺が羽ばたく吉兆を表している。
「ポスターの街とやま」は、ポスター文化を大切にし、ポスタートリエンナーレを24年間続けている世界に誇れる豊かな街だ。 ポスターは人類がこれから考えたり、実行しなければならない重要な問題を人々に伝える機能を持っている。今回設置された、3基目のポスターギャラリー (ポスター塔)のメッセージイラストレーションポスターは、今回もシリーズとして、21世紀に解決しなければならない重要な問題「エコロジー」を 取り上げた。富山の街から見える立山連峰は世界で最も美しい山々だ。 そこからの恵みは計り知れない喜びと豊かな生活を与えてくれる。 毎日暮らしているとその恵みは、当たり前の出来事に思いがちだが、 遠くからの訪問者にとってはその美しさに驚きと感動をもって驚嘆の声をあげる。タイトルはやはり「Thanks Mountain」だ。 感謝の気持ちが沸き起こる。人間にとって自然が与える美の力は絶大なものだとあらためて再認識する。
2008年10月30日に秋山孝著書「Chinese Posters」が、朝日新聞出版より全国で発売された。中国の建国初期から文化大革命期に制作されたポスターは、これまでほとんど美術研究の対象となっていなかった。そのことに疑問をもったことがきっかけで、2002年から6年間にわたって約300点のポスターを収集した。本の内容は、1949年中華人民共和国成立・1966年文化大革命を経て2008年四川大地震までの激動の中国現代史をポスターで見ることができる。
ポスタ?は、いったい何を語っているのだろうか。ポスターはメッセージを含んでいるビジュアル・コミュニケーション表現だ。大きな声で叫んではいない。ポスターは、音も出ないし声も出ない静かにそこに佇んでいる「沈黙の声」である。だからこそ熟考した含みのある「沈黙の声」が響き渡っているのである。聞こえない人には全く聞こえない。目で聞こえる人だけが理解できる。だから視覚芸術と呼ばれる所以なのである。
「”Homage Shigeo Fukuda” 古今図案師似顔挿絵之図福田繁雄」
Third International Biennial of Poster Bolivia
福田繁雄先生は日本の侍だ。彼は厳しさ、静けさ、そしてユーモアを兼ね備えていた。東京藝術大学でぼくは福田先生から多くのことを教わった。(2009年1月11日、クモ膜下出血で逝去された)
2009年7月12日に「秋山孝ポスター美術館長岡」が開館する。秋山孝の出身地である新潟県長岡市に誕生する。美術館は歴史的建造物・旧北越銀行宮内支店を修復し、イラストレーションとポスターを国際的に研究し受発信するポスター美術館となる。目的・必然性・内容を大切にした展示を目指し、地元・小林虎三郎の教育精神を受け継いだ教育を大切にする美術館である。「美術館大学」という名で年に5回の講演会を行う予定である。
日本の1.4倍の広さを持つタイ王国において初個展を開催した。8月11日から8月23日まで首都バンコクのタイランド・ノウレッジセンターの会場だ。首都バンコクは、チャオプラヤー川が流れ、王宮と格式の高い寺院ワット・プラケオがそびえ建つ。展覧会のテーマは「ユーモア」だ。ユーモアは国際コミュニケーションの道具として重要で効果がある。ポスターのデザインはバンコクの名物トゥクトゥクだ。派手な外観の小型オート三輪にポスター塔を乗せてバンコクの夜を走る。そのイラストレーションを見ると、笑顔がやってきた。