国内外の情勢 | 秋山孝の記録 |
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2011年(平成23)
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2011年(平成23)・59歳
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2012年(平成24)
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●2012年(平成24)・60歳
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ぼくのポスター作品は、世界で活躍する。それは、他の芸術作品と比較すると非常に簡便なインターネット・コミュニケーションと作品運搬の国際宅急便のおかげだ。想像を絶するスピードで世界を駆け巡っている。しかも、言葉を越えた理解しやすい視覚言語表現を駆使しているからだ。今回のポスター作品は、リブリアナ(スロベニア)で開催された「国際ポスターフェスティバル・リブリアナ’11」に招待出品したものだ。国立スロベニア美術館で2011年9月19日から10月14日まで開催された。そして、テーマは「差別の面々をあばく!」で難問であった。世界の人種がテーブルで国際会議をしているイメージだ。テーブルの足は、差別を象徴する色を配色した。
1986年チェルノブイリ原発事故が起きてから25年が経った。その悲劇を記念して”4th Block”グラフィックデザイナー協会 (ウクライナ)により国際ポスター展「ポスターアクション”25 on 25″」の展覧会がウクライナのハリコフ “House of Artist(芸術家の家)”で4月26日に開かれた。同時開催でモスクワ始めロシア各地・ワルシャワ・ドイツなどで開催された。ポスターは二つの原子炉、チェルノブイリと福島が重なり合い激しく揺れている姿をデザインした。25年経ってもチェルノブイリの教訓は活かされているのか疑問を感じる。つまり、人間は悲しいことに過去の災害からあまり学ばないということがよく分かった。
韓国ソウル特別市の北西に隣接する高陽市(ゴヤン)のアラム美術館で2011年12月21日~2012年4月1日まで開催された「第2回国際漫画芸術フェスティバル 2011(ICAFE)」のテーマは「芸術と環境・生態・生命」だ。「漫画」を「芸術」として捉えた視点は国際的にもめずらしい。そのためのポスターデザインは、生命形態学から見た「脊柱の宗族発生–サルからヒトへ 」のプロセスの入り口から結果をシンボリックにデザインした。つまり脊椎のデザインが変化したことで二足歩行が生まれた。環境・生態・生命をユーモアのある漫画芸術のフォルムで表現した。そして、特別展として「秋山孝ポスター展/ユーモアとアイデア」も開催された。
第51回関東甲信静地区造形教育研究大会・新潟大会/記念講演
秋山孝/秋山孝ポスター美術館長岡にて
還暦は、干支がぐるっと回って生まれた年の干支になり、新たな暦の始まりだ。とうとう、2012年5月18日ぼくの還暦の年がやってきた。 多摩美術大学イラストレーションスタディーズのメンバー(卒業生)が、お祝いにトレビュートポスターを制作してくれた。それぞれとても魅力的であった。 ぼくは、ポスターに人生を賭けてきた。それならお返しは、自身の還暦ポスターをデザインすることだと思い制作した。はずかしいが「自分自身を自分で支配できない運命の還暦」 それがぼくだ、というのが見えてきた。まるで人形遊びの藁人形が宙に浮いているようだ。ゴヤの名作「人形遊び」だ。そこに脱力した無力のぼくが遊ばれているそんなぼくがいる。
今年の中国での展覧会「秋山孝in四川成都2012」展(6/27~7/25)は四川省成都区政府の向かいにある桂湖公園の湖心楼で開催された。その庭園は、隋唐の時代に建設され2000年を経た優雅な佇まいだ。唯一保存され重要文化財に指定されている。日本の庭園とは異なり雄大な優雅さがある。オープニングセレモニーでは、小雨が降り、池に咲く蓮が美しく輝いていた。ぼくの作品は、その空間と想像以上に調和していた。展覧会ポスターのデザインは、四川のシンボル「パンダ」が竹薮のグリーンに同化し、芸術家のアングルに入った瞬間を現した。出会いの感動だ。ぼくたちは、いつも自然の中で美との出会いを探している。
五十嵐威暢 多摩美術大学学長
ギャラリートーク(会場にて)
2012年6月に多摩美術大学美術館において開催された「多摩美術大学 × ポーランド・カトヴィツェ芸術アカデミー交流展」のセレクション展として、札幌プラニスホールで開催した。ポーランドは、歴史的な軋轢や勢力分布に翻弄されながらも、独特で優れた芸術家や文化人を輩出してきた。カトヴィツェ芸術アカデミーは、版画とポスター芸術に優れた美術大学として知られている。版画とポスターの展覧会は今までに見られない試みである。ポスターデザインは、2羽のトキが重なり合いながら羽ばたく姿を描いた。トキの学名は「ニッポニア・ニッポン」で、日本で二つの大学が交流するのは意義深い。赤は、ポーランドと日本の国旗の色を表す。