吉乃川「常倉」は、1923(大正12)年に建築されたもので、フレンチトラストの構造を持つ鉄筋造だ。
1階の柱を減らすため2階床組は吊るされている。
そのため製品倉庫としての機能を満たしている。
さらに中越地震で被災したが、耐震補強して働いている。
ぼくは、小学生の時から通学路にある「常倉」を眺めながら学校に通った。
春になると壁一面にツタが絡みそのミドリ色の輝く美しさを理解した。
夏から秋にかけツタのグリーンの微妙な変化に気づいた。
また、絵画ではけっして現すことのできない美的世界がそこにあった。
冬にかけて枯れ葉になるプロセスから、植物のはかなさも知った。
心に訴える「吉乃川常倉」佇まいだ。